こんにちは、もっちです。
今回の記事では、「楽しいこと」を共有することとコミュニケーションの促進について、筆者の経験から感じたことを紹介したいと思います。
まず、自分の経験を誰かと共有することには、いくつかの心理的な意味があります。
- 他者からの承認
- 共感を得る
- 人間関係を構築し、親密さを高める など
中でも、「楽しいこと」を共有することができると、親密さが高まりやすいことを示唆する研究があります。
皆さんも、そのような経験をされたことがあるのではないでしょうか?
筆者も、仕事を通じて、楽しいと感じたことを共有できたときにコミュニケーションや関係性が少し変化したと感じるできごとがあったのです。
楽しいことを共有することが、コミュニケーションのきっかけ作りに

筆者の仕事には、定期的に中学校を訪問し、教室に入りづらい生徒さんたちと交流する時間があります。
この訪問では、ゲームやミニ実験を通してコミュニケーションを取ったり、心理ワークショップを開き自分や他者についての理解を深めたりしています。
今まで知らなかった自分や友達の新たな一面を知ったり、「こういうことを楽しめる自分もいるんだな」といった自分と出会ってもらったりしながら、「なんだか心地よいな」と思える時間を過ごしてもらうこと、人との関わりが怖いことではないと感じてもらうことができたら良いなと考え、実施しています。
そんな活動を継続してきて、一緒に楽しんだり、笑い合ったりして過ごすことが、コミュニケーションのきっかけ作りになり、徐々に距離が近づいてきたように感じられることがありました。
教室に入りづらい状態の背景は、一人ひとり異なると思われます。必要な支援、関わり方は、「こうすれば良い」と型にはめたようなものではありません。
しかし、今、訪問で関わっている生徒さんに限らず、過去に出会ってきた教室に入りづらい生徒(児童)さんも含め、いくらかの共通点はあるように感じます。
簡単にですが、筆者がこれまで関わってきた生徒(児童)さんたちに共通していると感じることについて挙げてみます。
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※それぞれの要因についての詳細な解説や対応については、別の記事で取り上げたいと思います。
発達の特性や、生育環境など背景は様々ですが、教室に入りづらい状態になっている生徒さんは、上記のような部分でしんどさを抱えている人が多いように感じます。
中には、親御さんや先生に、上記のような理由を自分で説明していた生徒さんもいました。
このようにさまざまなしんどさを抱え、教室へ入りづらい状態になっている生徒さんに、人との関わりがしんどい、嫌なことばかりではないという経験を積み重ねてもらいたいと考え、今の活動を続けています。
ところで、生徒さんたちとの関わりでは、筆者は、初めは「なんだかよく分からない人」として登場します。
先生が言うから挨拶はした。何かするって言うからとりあえず話を聞いてみたけど、ゲームしに来ただけ?結局何が目的なの?・・・というふうに、『なんか先生が紹介してきた謎の人』です。

謎の人として現れる筆者
訪問やワークショップの目的を説明しますが、いきなり言われても「へ〜」の域を出ない状態です。
しかし、そんなふうになんとなく始まった状態でも、ゲームやミニ実験をしてみると、意外と皆さん、楽しんでくれている様子が見られました。
そして、初めに書いたように、徐々に生徒さんとの距離が縮まってきたと感じるようになり、心理ワークショップの導入時もやり取りがスムーズであったように感じられました。
楽しい経験の共有、コミュニケーションにつながったミニ実験
中でも、実験そのものを楽しんでもらえただけでなく、他の人とのコミュニケーションにも繋がったミニ実験がありましたので、ご紹介したいと思います。

その① 不思議な実験キット キラキラキャンディ結晶(seriaで購入)

こちらは、ミョウバンの再結晶化の実験キットです。
ミョウバンの粉を溶かした水溶液に、好きな形にしたモールを浸けておき、結晶を作ります。
参加してくれた生徒さんたちからは、「なんか理科の授業でやったことがある気がする」との声や、「本当に写真みたいにきれいにできるの?」といった声が上がりました。
水溶液を作りモールを浸ける。手順は実に簡単です。
しかし、結晶ができるまでは数日間の時間が必要なため、「ちょっと面倒かな」という生徒さんもいました。
ミョウバンの粉を溶かして、モールを好きな形に整えて…と作業しているときは、皆さん、淡々としている印象でした。
今回の実験は、中学生にはあまり面白くなかったかな?
筆者はそんなふうに思いながら、その日の訪問を終えました。
さて、その2週間後、再び中学校を訪問したときのことです。
前回、実験に参加してくれた生徒さんが、「見て、できてたよ!」と言って、実験結果を見せに来てくれました。
「おお〜、キレイにできたね!」と思わず声を上げると、生徒さんもニコニコと笑いながら、「うん」と応じてくれました。
また、一緒に実験に参加してくださった先生の話によると、毎日、水溶液の様子を一緒に観察し、結晶ができたら教室で飾ってくれていたとのこと。
あまり面白く感じない実験だったかな、と筆者は想像していたのですが、意外と、興味を持ってくれていたようでした。
他の生徒さんも、手元に結晶を持って来て、色や形の違いを見せてくれました。
先生が一緒に浸けていたモールの方には結晶が少なく、「同じようにしていたのになんで違いが出たのか、ふしぎだね」と、先生と生徒さんとで話しておられました。
この実験を通して筆者が感じたのは、一見、興味がなさそうだったり、楽しそうでないように見えていても、意外と関心を寄せてくれていたのだなということでした。
また、実験の経過を先生と一緒に観察し、変化したことや違いが見られたことを話したりして、新たなコミュニケーションのツールにもなっていたのだなということも感じました。
その② お家でできるプチ研究シリーズ 信号反応 黃赤青に変わる水(ダイソーで購入)

こちらは、グルコースの働きによりインジゴカルミン(色素)と酸素の結合が変化し水の色が変わるというものです。
用具を取り出し、「振ると色が変わる水を作ろう」と呼びかけても、初めは皆さん、あまり関心がない様子でした。
先生が言うから参加するけど…という感じかな?と筆者は思いつつ、何とか盛り上げたい気持ちで説明が早口になります。
実験中、計量カップやかきまぜ棒は一つしかなかったため、「これ、次使って良い?」、「こっち貸して」といった貸し借りのやり取りが必然的に生じました。
こうしたやり取りをきっかけに、「混ぜたら爆発したりしない?」など冗談を言ったり、「そっちは(材料が)足りてる?」と周囲の様子を見て声掛けをしたりと、生徒さん同士のやり取りが増えていきました。
そして、炭酸カリウムの水溶液(無色透明)に色素を溶かした青色の液体を混ぜると黄色に変わり、「え、何で?」と反応があり、水溶液を振ると赤、青に変化し「すごっ!」と声が上がりました。
色が変わる仕組みを説明すると、「へ〜、そうなんだ」と頷いて聞いてくれる生徒さんや、「酸素がなくなったら何で色が変わるんやろうなあ」と不思議に思ったことを口にする生徒さんもいました。(筆者はそこまでわからないので、理科の先生に尋ねてみてくださいと伝えました 笑)
そしてまた2週間後、訪問した際に、教室に水溶液のペットボトルが残っており、「先生、これ、まだ色が変わるよ」と言って見せてくれました。
後日、実験のときにはいらっしゃらなかった先生とお話する機会があったのですが、この実験に参加した生徒さんが、「これ見て、信号反応って言うんだよ」と、先生にやって見せて、説明もしていたことを教えていただきました。また、理科の先生にも「信号反応の実験をしたよ」と知らせていたとのことでした。
この実験では、道具の貸し借りで必然的にやり取りが生じたことや、実際に変化を目にして思わず声が出たことが、コミュニケーションを促す要素になったと思われます。
実験後に誰かに教える、他の先生に話すというコミュニケーションが生まれていたのは、この時の筆者にとって予想外のできごとでした。
自分の経験を誰かに説明し共有することは、他者からの承認を得ることとも繋がり、「教える」ということが本人の自信にも繋がります。
この実験は見た目にもわかりやすく、説明する際にも視覚的に捉えやすいので、「わ、すごい!」、「本当だ!」と相手の反応を引き出しやすいという特徴が、コミュニケーションの促進に繋がったと思われます。
最初はあまり興味なくても、実際にやってみると楽しめた!

実験を始める前や説明をしているときは、あまり興味がなさそうに見えた生徒さんたちでしたが、実験をしたあと、感想として、「意外と面白かったなあ」と伝えてくれました。
この言葉は大人のためにサービスしてくれていないかと気になったのですが、先生方から一緒に観察していたことや、実験の内容を参加していない先生に説明していたことなどを聞き、普段とは少し違う活動を、楽しんでくれていたのだなと思いました。
初めは警戒するような表情が見えた生徒さんも、話の輪には入ってこずとも、表情が少し和らいで、話を聞いてくれるようになったと感じられます。
一緒に新しいことや「意外と面白い」と思うことを経験し、生徒さん同士のコミュニケーションが促進されただけでなく、筆者に対しても、「今日はゲーム?」、「次はどんな実験?」と生徒さんの方から話してくれることが増えていきました。
このようなことは、実は中学校への訪問だけではなく、適応指導教室で仕事をしていた時にも感じたことがあります。そして、実験での経験を、家庭訪問などで会う先生に話してみるという新たなコミュニケーションにも繋がっていたことを思い出しました。
実験は学習の要素もあり、抵抗を感じる生徒さんもいますが、教科書を使わない、キッチンにある身近なものや100円ショップで購入できるものでできる実験は、やってみると意外と楽しめるようです。
意外なものがコミュニケーションのきっかけ作りに役立った
実は、筆者は今回紹介したような、お子さんと関わる仕事をする時、何人かの小集団で活動をする時、どんな事から始めると話をしやすいだろうか、少しでも緊張を和らげられるだろうかと、ネタ探しに時間を費やすことが珍しくありません。
知識や経験の引き出しが多い方であれば、あまりそのようなことに時間を割くことは無いかもしれませんが、筆者はなかなかそうも行かないのです。
特に中学生、高校生と年齢が上がってくると、カードゲームや手遊びなどでは幼稚に感じたり、そもそも大人とのやり取りに嫌気が差していたりと状況も様々で、きっかけを掴むのが難しいこともよくあります。
そんな時、筆者はネタ探しに、どこかで聞きかじったスマホゲームのタイトルを思い出してインストールしてみたり、Switchは持っていないのでどんなソフトがあるのか・過去作のリメイク版がないかをリサーチしたり、おもちゃ屋さんや100円ショップを覗きに行ったりしています(笑)
サイトの口コミや店舗のポップに書かれていることをヒントに、イメージを膨らませて話の種にしていきます。
そんなふうにして色んなことを試しているのですが、意外だったのが、100円ショップで販売されている実験キットでのミニ実験や、キャラクターグッズや推し活グッズが沢山あるという話題が、その後のコミュニケーションの促進に役立ったということでした。
今回ご紹介した実験キットは100円ショップで買うことができるので、グループ活動や生徒さんとのコミュニケーションのきっかけ作りのネタを探しておられる方は、よければ試してみてくださいね。



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