子育てがうまくいかないと自分を責めてしまう…そんなあなたに知ってほしいこと。

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子育て

こんにちは、もっちです。

前回の記事では、子育ては心配が尽きないものであるということを書きました。

親御さんが日々感じている心配や不安、悩みには様々なものがあります。

その中に、「子供のことが分からない」、「どうしてこうなっちゃうんだろう」という思いや、悩みがあります。

今回の記事では、そういった疑問や悩み、わからないことがあるのは当たり前で、日々の子供との関わりを通して、子供の成長とともに親も一緒に成長していくものだということを解説したいと思います。

 

この記事を書いた人
motchi(もっち)

関西で活動中の臨床心理士。大学・大学院在学中より、不登校状態にある児童生徒の支援活動に携わる。卒後、自治体の運営する適応指導教室、市役所の児童福祉部署で不登校、子育て、児童虐待など、子どもに関する相談支援事業に従事。
現在は、NPO法人で引きこもりや生きづらさを抱える若者、そのご家族への相談支援に携わっている。

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子育てがうまくいかないと、自分を責めていませんか?

「子育てがうまくいかない…」と感じていらっしゃる方は、沢山いらっしゃるのではないでしょうか。

筆者もこれまでに、「他のお母さん(お父さん)はちゃんとできているのに、自分はうまくいかないことばかり」と捉えて、自分を責めたり落ち込んだりしている方と、何度も出会ってきました。

「皆は、どうして子供のことがわかるんですか?」、「何をやってもうまくいかない私ってダメですよね…」と、そんな言葉を口にされる親御さんが何人かいらっしゃいました。

しかし、子供を育てるうえでは、わからないことが沢山あって、子供との関わりを通して、親自身もまた、成長していく部分があるいうことを、知っておいていただきたいと思います。

 

初めから何でもできる親はいない

子供が生まれれば、立場は必然的に『親』になります。

しかし、『親』という立場になったからといって、子育てについて何もかも熟知し、何でもできるようになるでしょうか?

『子育て』は試行錯誤の連続で、はじめから何でもかんでもできるという親御さんは、なかなかいないものです。(果たしていらっしゃるのでしょうか!?)

このことは、以下の点から想像に難くないのではないでしょうか。

  • きょうだいのお世話などの経験があっても、自分自身の子供を育てることは、第一子であれば初めてのことばかり
  • 第二子、第三子であっても、子供は一人ひとり違う人格を持つ存在で、全く同じように育てることはできない
  • 子育てには「絶対にこれが正しい」という正解があるわけではない
  • 子供との関わり方が「これで良かったのか」、という問いへの答えもすぐには出ない

筆者がこれまで出会ってきた親御さんたちは、「みんなはうまくできているのに、自分は全然できない」とおっしゃり、周囲の親御さんと自分を比べて、何もできていないと自分を責めておられる方が多かったです。

先輩ママさん・パパさんや、ご自身の親御さんなど、モデルとして描いておられる『親』像があり、そのとおりにいかないことで、自分のことを「できていない」と評価されているのです。

しかし、その「できていない」ことは当たり前のことです。

なぜなら、モデルとしている方の親子関係と、ご自身のお子さんとの親子関係は全く別物であり、モデル通りの声掛けや行動をしたとしても、同じ結果にはならないからです。

例えば、「◯◯すればうまくいく!」というように紹介されているメソッドがあり、今日ではインターネットなどでそうした情報にアクセスしやすくなっています。
こういった情報は、子育てに悩む親御さんにとっては有益なものとなり得ます。

ですが、紹介されていることを、そのまま同じようにすれば良いというものでもありません。

親御さんとお子さんの関係性や、それぞれの性格、考え方のクセなどの特徴により、言い方やタイミングを考えたり工夫したりして、実践することで生きてくるものなのです。

誰かがやっていることをそっくりそのまま真似したところで、思うような結果が得られなければ「あの人にはできるのに、自分にはできない」といった間違った自己評価をしてしまいます。

まず、他の人と全く同じ事はできなくて当たり前ですし、ご自身やお子さんに合ったやり方がどういうものか、何の経験もない段階で答えが分かっているというものでもありません。

親も成長していく道のり

初めてのことは「分からない」が当たり前で、子供と共に経験しながら、親も成長していくのです。

 

モデルと違うから「ダメ」なのではない

「こういう親になりたい」、「あの人のような親子関係を築きたい」という思いを持つこと自体は悪いことではありません。

しかし、その理想に縛られるあまり、親御さんが間違った自己評価を下し、自尊心が傷ついてしまったり、思うようにならないお子さんに苛立ったりする状態は、親子ともに苦しくなるばかりです。

モデルとしている親子像と違うからといって、それが「ダメ」だということではないと、知っておいていただきたいです。

 

モデルと自分が違ってもそれは当たり前。モデルを参考にしながら模索して、自分なりの方法を見つけていく。

 

「モデルとなる人と違った」、「理想どおりにならない」と感じても、それを「ダメなこと」と評価をするのではなく、「違うスタイルの方が合っているのかもしれない」と視点を切り替え、お子さんの姿を見ながら、新たな自己像、親像や、親子関係を模索する過程も大切なものです。

繰り返しますが、モデルと違うから「ダメ」ではないのです。

 

「違う」と感じたら成長の第一歩

理想とする姿があり、試行錯誤しながらお子さんと関わる中で、「何か違う」と感じたら、それは新たな視点に切り替えるためのサインかもしれません。

しっくりこないまま、「でも、あの人(親としてモデルとなる人)のようになるには続けないと」と思っていると、「私ちゃんとできない」、「(思うように行かなくて)ダメな親だと自己評価してしまうことがあります。

また、「自分はちゃんとやっているのに、それに応えない子供が悪い」と、子供を責めてしまうこともあります。

そういうときは、立ち止まって考えてみてください

本当に、あなたができていないからダメなのでしょうか?

子供が思うような反応をしないことが悪いのでしょうか?

どちらかがダメだとか悪いとか、そういうことではなく、『あの人と私は別の人間』であり、『あの人の子供と、自分の子供も別の人間』ということなのです。

物事の感じ方や考え方が違う人が、全く同じことをして同じ結果になるでしょうか。

おそらく、そうではないということは想像してもらいやすいと思います。

理想どおりじゃなくても大丈夫

また、人間の難しい(そして面白い)ところは、同じ結果が生じたとしても、その結果に対する捉え方も人それぞれ違うので、全く同じにはなれないということです。

理想とする人の言動を真似て、それに対する子供の(見かけの)反応が同じでも、親御さんが「そうじゃない、もっと嬉しそうにしてほしいのに」など別のところで期待するものがあると、その結果には満足できず、「もっと、もっと」と求めていくことになります

ですが、モデルとしている親御さんはそこまで求めているかどうか、外から見ているだけではわかりませんよね?

反対に、「もっと、もっと」と求めたりせず現在の子供の姿に満足されているように見えて、内心ではたくさん期待を持っておられるかもしれませんよね?

言葉にはならず、無意識のうちに求めたり、諦めたりしていることもあるかもしれません。

そういったことから、周囲の親御さんと比べて自己評価をしてみても、『あの人と比べて自分ができているのか、できていないのか』、本当のところは分からないものなのです。

先程、一度立ち止まって考えてみてくださいと言いましたが、ここで考えてほしいのは、今までは良いと思ってやってきたことが「何か違う」と感じたら、ご自身やお子さんにとってその方法は合わなかったのかもしれないということです。

そして、少し視点を変えて、違うやり方や言葉かけを考えてみてほしいです。

そのために身近な色んな人に話を聞いてみても良いですし、どこか相談支援を行っている機関に相談してみられても良いと思います。

そうして新しい方法や考え方に出会うことができたら、それはあなたが新たな知識や経験を得ることに繋がり、『親』としての成長の一歩となるのです。

 

「子育ては親も一緒に成長する」ってどういうこと?

以前の記事で、カウンセリングは人と人との関わり、相互作用を通して変化していくものであり、それは日常生活の中でも生じている事とだと紹介しました。

親子関係もまた、親と子という、人と人との関わりであり、相互作用により互いが変化していきます。

その変化の中の一部が、「子供の成長」であり、「親としての成長」なのです。

「親も成長する」と言われるけど…

筆者のもとに相談に来られる方の中には、「子育てって親も成長するものと言われるけど、自分は全然成長できていない」と仰る方も少なくありません

「子育ては親育て」という言葉は皆さんも聞かれたことがあるのではないでしょうか。

子育てを通して親も親として育っていくという考え方を指しますが、そういう考え方がある事はわかっているけれど、自分はそれに当てはまらないと考えて、しんどくなっておられる方もいます

この悩みは、先述のとおり、他の人と比べて、実態はわからないまま、比較対象となる親御さん・お子さんのようになれない、できないと思い、自分や子供を責めてしまっている状態でおられることが多いです。

そういうときには、筆者は「その人のようにできるようになることが、本当に成長ですか?」といったことを問います。

あなたやお子さんにとっての成長って何でしょう、と投げかけることで、落ち着いて現状を見てもらいたいためです。

成長とは変化することです。人は、変化することに不安を抱きやすいものです。

ましてや、どのように変化するか分からない状態であれば、不安はより大きくなります。

このことが、誰かを「正解」であることにして、そこに到達すれば良いのだと考えることに繋がっているのではないかと、筆者は感じています。

正解があり、そこにたどり着ければとりあえず安心できますからね。

ちょっと前のところで、「子供の(見かけの)反応」と書きましたが、この『見かけの反応』が、とりあえずの正解として設定されているものです。

そして、とりあえずの正解にたどり着いた時、実は親御さんが期待していた別の事柄(感情やその次の行動)とズレていると、「違う」、「思ったようにできていない」と評価されてしまいます

本当のゴールが別のところにあるということは意識されづらいように思われます。

そのため、筆者は「その人のようにできるようになることが、本当に成長ですか?」などと問うのです。

 

「子育てを通して親も成長する」とは

先述の問いは、親御さんが本当に望んでいることは何なのか、そしてそれがお子さんとご自身の関係性の中で必要なことかを考えてもらうことが狙いです。

そのようなことを考える時、その親御さんは間違いなく、そのお子さんの親です。親として最大限できることを、一生懸命考えようとされます。(これはカウンセリングの中で生じていることを指した表現であり、決して、それ以外の時間が親ではないという意味ではありません)

この時間が、子どもとの関係を通して親も成長するということに繋がってきます。

自分は何を望んでいるのだろうか?

子供は何を望んでいるだろう?

自分と子供の間で何をしたら良さそうかな?

何をしないでいる方が良いだろうか?

様々なことを、子どもとの関係においてはどうか、という視点で考えていきます

そして、子供の反応を確認しながら、「これは嬉しそうだった」、「これは良かった」と思うことや、「こっちはしないほうが良かったな」、「うまく行かないから他の方法に変えよう」ということを見つけていきます。

親が子供の様子から自分の言動や感情を振り返り、次の関わりに活かす子供も親とのやり取りを通してさまざまな反応や変化があり、年齢が上がれば自分のことを振り返ったりするようになります。

そうして相互に作用しあって、親も子も変化していくのです。

つまり、子育てを通して親も成長するということは、親子の相互関係の中で、互いに変容していく過程を経験するということなのです。

 

周囲のサポートも大切

筆者が出会ってきた親御さんで、誰かとの比較で自尊心が傷ついておられる場合、多くは、ご自身の親やパートナー、あるいは他の親御さんから、誰かと比べて「ちゃんとしないと」と言われておられました。

ご自身だけが誰かと比較しているのではなく、周囲の人にも、誰かと比較し評価されていたのです。

周囲の評価に合わせて何とかしようとすると、どうしても比較対象に近づいているか、同じようにできているかが評価軸になります。そしてそれは、子供への評価にも反映されます

「◯◯ちゃんは、ちゃんとやってるよ!」、「どうしてあの子と同じにできないの!」と、誰かを基準に、できている・できていないを評価してしまいます

お子さん自身の現在の発達段階や、獲得している力に応じて、できるようになったことを見落とし、一足飛びに理想に近づけようと躍起になられることもしばしばです。

確かに、みんなと同じようにできることも、子供の力の一つです。

しかし、みんなと同じかどうかだけでは評価できない物もたくさんあります

子育て中の親御さんは日々、一生懸命に子供の世話をし、成長を見守り、将来困ることのないようにと願い、いろんな関わりをされています。その中で、だからこそ気付ける子供の成長や力というものもあります

そしてそれらは、周囲が勝手に誰かと比べて評価できるものではありません

子育て中の親御さんの周囲の方には、ぜひ、誰かができていることをできるようになってもらうためではなく、親御さんが一旦立ち止まって、「今の親子関係の中で何が必要かしら?」という視点で考えられるよう、サポートしていただければと思います。

 

親御さんにも、初めてのこと、わからないことが沢山合って当たり前だという気持ちで、お子さんと一緒に成長していかれる過程を暖かくサポートしていてもらえることが、親子ともに大切な経験となります。

 

親も成長していくということ ― 研究と報告から

複数の研究や報告から、「子育てを通じて親も成長・発達していく」という共通した視点が示されています。その一部を以下にご紹介します。

「母と子の相互発達に関する研究(I)‐特に母性意識を中心として母と子の相互作用を通して」(寺田,菊池,1993)では、「母親もまた親として発達する」ことを指摘し、親の成長という考え方の原点が示されています。

「子育てを通じた親の成長と親の成長に関連する要因について」(村本,2021)では、親が子どもの成長とともに自らも変化していく歴史的背景を整理し、親の成長を促す要因(家庭環境や親の意識、子どもの成長段階など)を分析しています。

「父親と母親の子育てによる人格発達」(目良,2001)は、父母ともに子育てを通して「自分が成長した」と実感していることを明らかにしました。

「家族関係学の回顧と展望 ―親子関係研究を中心に―」(冬木,2011)では、親子関係を親・子・地域社会の発達的システムとして捉える理論的視点を示し、親も発達の主体であることを位置づけています。

さらに、日本保育協会(2013)の報告書では、「子どもが育ち、親も育つ」という言葉がタイトルにも掲げられ、地域子育て支援の現場でもこの考え方が定着しつつあることが示されています。

このように、「親も成長する」という視点は、理論・調査・実践の各領域で共通して認められつつあることです。

心理学や発達心理学の分野で共通して、『親』という存在は、子育てを通して、子供と一緒に成長していくものであるということが示されているのです。

今回の内容が、日々悩んでいる親御さんの気持ちを少しでも軽くできるものとなりますように。

今後の投稿でも、知っていてもらえると良いなと思う心理学の知識をお届けします。

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